【書評】萱野稔人『国家とはなにか』

・最近、ニュース番組等でよく見かける人で、フリーター後にパリ大学卒業といった変わった経歴を持っていたことから、主著を一部、読了。

・前書きにある通り、4章にある著者の主張の核は国家は暴力装置であり、フーコーやアルセチュール等が述べるようなイデオロギーや幻想に基づくものではないというもの。

・確かに主義主張や思い出だけで国家が成立するとは考えにくい。異なる主義主張を持ったテロリストがいればその国家はたちまち瓦解する。

・従って暴力の独占が国家の最低条件であることは否めない。一方、暴力の独占を続ける独裁国家が永久に続いた例は歴史にはない。

・あくまで暴力の行使は最後の手段であり、民主制の導入や経済成長、文化の継承などを通じて、国家は国民を支配しているのではないか。

・その意味では、国家は暴力と幻想の連続的な運動体である。